精密根管治療

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【再発リスクを抑える】精密根管治療

再発リスクを下げる精密根管治療【自由診療】

歯を残すための根管治療

歯の内部には、神経や血管を含む「歯髄しずい(歯の神経)」という組織があります。虫歯やけがによって歯髄に炎症や感染が起きた際に、傷んだ歯髄を取り除き、根の中を清掃・消毒する処置を「根管治療こんかんちりょう」と呼びます。

歯髄が感染したり失活すると、炎症が広がったり歯の根の先に膿がたまり、抜歯に至ることもあります。そのため、この根管治療は、歯を残すためにとても大切な治療です。

根管治療は保険診療でも受けられます。しかし、歯の根の中は細く複雑な形をしているため、従来通りのやり方では感染した組織や細菌を十分に取り除くことが難しく、治療後に炎症が残ったり、再び感染して再治療が必要になる場合があります。

精密根管治療は、従来までの根管治療では不安な方や複雑な歯根の方に、時間と様々な器具を使って歯を残すために、あえて保険を使わない特別な根管治療です。

根管治療のイメージ

図1根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率. 調査期間:2005年9月〜2006年12月. 東京医科歯科大学むし歯外来. 智歯は別掲

※1・図)根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率

根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率グラフ

精密根管治療と従来通りの根管治療との違い

精密根管治療では、精密な機器を使い、時間をかけて歯の根の中を丁寧に清掃・消毒します。再発のリスクを抑え、神経を取った歯をできるだけ長く残すことを目指す治療です。

歯の根の中は細く複雑に枝分かれしているため、細菌や感染した組織を取り除くのが難しい場所です。精密根管治療では、こうした細かな部分まで確認しながら処置を進め、感染の原因をできる限り取り除きます。

精密根管治療の主な特徴は、「歯を長く残すことを目指す」「再発のリスクを抑える」「少ない回数で治療を進めやすい」という3点です。セラミックなどの被せ物を長く使うためにも、その土台となる歯の根をしっかり治療しておくことが大切です。

また、1回の処置にしっかり時間を取るため、従来の根管治療に比べると治療回数が少なくなり、通院の負担も減らすことができます。

肉眼では見えない根管

肉眼では見えない根管

精密根管治療で治療した根管

精密根管治療で見つけた根管

治療の内容 従来の根管治療 精密根管治療
期間・回数 2〜3ヶ月 
通院回数:5〜10回
1〜2ヶ月 
通院回数:3〜5回
費用 保険診療
3,000〜7,000円程度
自由診療
単根管55,000円
複数根管110,000円
リスク
副作用
  • 治療中・治療後に一時的な痛みや腫れを伴う可能性があります
  • 治療した歯はもろくなり割れやすくなることがあります
  • 治療した歯は再感染・再発のリスクがあります(大)
  • 治療回数が長くかかる事が多いです
  • 歯冠を残す場合は歯の変色の可能性があります
  • 器具が根管内で破損したり穿孔する場合があります
  • 治療中・治療後に一時的な痛みや腫れを伴う可能性があります
  • 治療した歯はもろくなり割れやすくなることがあります
  • 治療した歯は再感染・再発のリスクがあります(小)
  • 器具が根管内で破損したり穿孔する場合があります

精密根管治療の3つの特徴

マイクロスコープ

拡大・鮮明な術野での処置

マイクロスコープ

マイクロスコープは、治療する部分を4〜20倍に拡大して見ることができる歯科用の顕微鏡です。細く複雑な根管の内部を確認しながら、汚れや感染した組織を丁寧に取り除きます。削る必要のある部分を見極めやすくなるため、健康な歯をできるだけ残すことにもつながります。

ラバーダム防湿

唾液に含まれる細菌から歯を守る

ラバーダム防湿

薄いゴムのシートで治療する歯を周囲から隔離する方法です。根管に唾液が入り込むと、唾液に含まれる細菌が感染や再発の原因になることがあります。治療する歯だけをシートから出すことで、唾液や細菌の侵入を抑え、清潔な状態を保ちながら処置を進めます。

ニッケル・チタンファイル

曲がった根管にも対応する金属

ニッケルチタンファイル

ファイルは、根管内の感染した組織を取り除き、形を整えるための細い器具です。精密根管治療では、柔軟性に優れたニッケルチタン製のファイルを使用します。根管の曲がりに沿ってしなやかに曲がるため、歯を削りすぎず、細部まで綺麗に清掃することが可能です。

治療した歯を長持ちさせる

精密根管治療は自由診療のため、保険診療に比べて費用がかかります。それでも、再発をできるだけ防ぎたい方には、抜髄時に検討していただきたい選択肢です。

というのも、精密根管治療は再治療でも可能ですが、一度治療した歯に再び感染が起きると、根管に詰めた材料を取り除く必要があり、初回よりも処置が難しくなることがあります。治療の見通しは、根の先に病変があるかどうかや、これまでの治療の状態によっても変わります。

神経を取った後も、ご自身の歯をできるだけ長く使いたいという方は、ぜひ抜髄(神経を取る)前にご相談ください。検査で歯の状態を確認し、治療方法や費用、見込める効果についてわかりやすくご説明します。

カウンセリング風景

精密根管治療の費用

  • 種類
  • 精密根管治療中の歯
  • 精密根管治療
  • 説明
  • ラバーダム(治療部位を隔離するゴムシート)を使用し、マイクロスコープで細かい根管まで確認。弾力性のあるNi-Tiファイルを使い、複雑な根の先まで精密に治療して、再発やトラブルを防ぎます。
  • 詰め物30,000円〜80,000円(税込33,000円〜88,000円)
  • 被せ物80,000円〜160,000円(税込88,000円〜176,000円)
  • 費用
  • 前歯~小臼歯 50,000円(税込55,000円)
    小臼歯~大臼歯 100,000円(税込110,000円)

歯の根を守る|歯髄温存両方MTA

歯の神経をできるだけ残すために|歯髄温存療法

感染初期の抜髄を回避する治療

神経を取らずに歯を守る歯髄温存療法

虫歯が歯の神経(歯髄しずい)まで進むと、炎症の程度によっては、神経を取り除く「抜髄ばつずい」が必要になります。これは痛みの原因を取り除き、歯の根や周囲の骨へ感染が広がるのを防ぐための治療です。

もし神経を取ったとしても、歯根に土台コアや被せ物で形を整えることで、再び噛めるようにはなります。ただし、虫歯や治療によって歯が大きく削られた歯は、割れたり折れたりしやすくなったり、神経を取った後に歯が変色することもあります。

こうした負担をできるだけ避けるため、神経を残す方法として行われているのが「歯髄温存療法」です。虫歯が深くても、神経の状態などの条件が合えば、神経をすべて取らずに治療できる場合があります。

神経近くまで達した虫歯

歯の神経を残すMTAセメント

当院の歯髄温存療法では、神経(歯髄しずい)を保護するために、MTAセメントという歯科用材料を使用します。

MTAセメントは、細菌の増殖を抑える性質があり、治療した部分をしっかりと封鎖できる材料です。虫歯を取り除いた後に使用し、細菌の侵入を防ぎながら神経を保護します。

このMTAセメントで、感染部位を封鎖することで、虫歯が神経の近くまで進んでいたり、神経に達していたりしても、神経の状態によっては抜髄を避けられる場合があります。ただし、神経が生きていれば必ず残せるわけではなく、炎症の程度などを確認して判断する必要はあります。

MTAによる歯髄温存は、すべての歯に適応できる治療ではありませんが、神経を残すための選択肢の一つです。当院では診査・診断のうえで、歯髄温存で神経を残せる可能性がある場合、治療の見通しや費用(自由診療)をご説明します。

MTAセメントのイラスト

※1)Farsi らは可逆性歯髄炎と診断された幼弱永久歯(30 歯,経過観察期間 2 年)で 93%の成功率,Bogen らは正常歯髄あるいは可逆性歯髄炎と診断された症例(53 歯)への最長 9 年の経過観察で,97.9%の成功率を報告している

MTAセメントの特徴

歯や周囲の組織に馴染む

MTAセメント

MTAセメントは、カルシウムを含む成分を主原料とした歯科用材料です。生体親和性が高く、歯や周囲の組織になじみやすい性質があります。

細菌の侵入を抑える

膨張して密封するイメージ

MTAセメントは固まる際にわずかに膨張し、歯とのすき間をふさぎます。この密閉性によって細菌が入り込みにくくなり、再感染のリスクを抑えます。

細菌の増殖を抑える

細菌・ウイルス

MTAセメントは強いアルカリ性を示すため、細菌が増えにくい環境をつくります。この性質が、歯や神経を細菌から守る働きにつながります。

高い親水性

湿った口腔内

MTAセメントは完全に乾燥させることが難しい歯の内部でも使いやすく、湿った口腔内でも問題なく処置・硬化できます。

MTAセメントによる治療を検討する方へ

MTAセメントを使った治療は、歯の神経を残すための選択肢の一つです。ただし、歯の状態によっては適応できないため、治療を望まれる方は次の点をご理解頂く必要があります。

  • 治療ができるかどうかは、診察や検査で判断します
  • 神経の炎症が強い場合や、すでに神経が死んでいる場合は、神経を残す治療が難しくなります
  • 治療を行っても、神経を残せないことがあります
  • 治療直後に問題がなくても、数日後から数年後に神経が働きを失うことがあります
  • 当院では自由診療となるため、健康保険は適用されません
歯痛

MTAセメントによる歯髄温存の費用

MTAセメントによる歯髄温存は公的保険の適用がない自由診療です

  • 種類
  • MTAセメント
  • MTAセメントによる歯髄温存療法
  • 説明
  • 歯科用セメントで露髄部を覆い、歯髄を保護・治療することで、抜髄せずに神経を残す処置法です。
    ※別途補綴の費用がかかります
  • 詰め物55,000円~80,000円(税込60,500円~88,000円)
  • 被せ物80,000円〜160,000円(税込88,000円〜176,000円)
  • 費用
  • 50,000円(税込55,000円)

神経を残したいとお考えの方へ

歯の神経を残せるかどうかは、現時点での虫歯の進行や神経の状態によって異なります。また、歯髄温存療法があればやりたくても、それに医院側が対応していなければそのチャンスすら失ってしまいます。

ですから「神経を取る必要がある」と説明され、残す方法がないか確かめたい場合は、抜髄治療を受ける前に歯髄温存療法に対応する歯科医院で意見を聞くのも一つの方法です。ただし、それでも歯の状態によっては、別の歯科でも神経を取る治療が必要という診断になる可能性はあります。

当院では、診察・検査で神経を残せる可能性を確認し、治療のメリットとデメリットをお伝えします。患者様のご希望も伺いながら治療方針を決めますので、神経をできる限り残すためにも、強い痛みが出るまで待たず、早めにご相談ください。

マイクロスコープを覗く歯科医師

精密根管治療のQ&A

精密根管治療に関するよくあるご質問

Q.精密根管治療と通常の根管治療は何が違いますか??
A.どちらも歯の根の中を清掃・消毒し、歯を残すことを目指す治療です。当院の精密根管治療では、歯科用顕微鏡のマイクロスコープや、唾液の侵入を防ぐラバーダム、柔軟性のあるニッケルチタンファイルを使用します。細かな部分を確認しながら時間をかけて処置し、再感染のリスクを抑えることを目指します。
Q.虫歯が神経まで進んだら、必ず神経を取る必要がありますか?
A.必ずしも神経を取る必要があるとは限りません。神経の状態によっては、MTAセメントで神経を保護する「歯髄温存療法」を検討できます。ただし、炎症が強い場合や、すでに神経が死んでいる場合などは、根管治療が必要になります。診察・検査で状態を確認して判断します。。
Q.被せ物だけ保険にできますか?
A.できません。保険のルールで、自由診療の途中から保険の治療を行うことができません。精密根管治療を行なった歯は、自由診療のセラミックやジルコニアの被せ物になります。また、セラミックやジルコニアの方が、虫歯の再発リスクは低くなります。
Q.精密根管治療には痛みがありますか?
A.基本的には治療中は麻酔が効いていますが、治療中・治療後に、一時的な痛みや腫れが出ることがあります。痛みの程度は、治療前の炎症や歯の状態によって異なります。治療中に痛みを感じる場合は、我慢せずにお知らせください。また、治療後に強い痛みや腫れが続く場合は、歯科医院へご連絡ください。
Q.精密根管治療は何回くらい通院が必要ですか?
A.精密根管治療では、通常5〜10回に分ける根管治療を1回で終わらせます。通院回数は全部で3〜5回、治療期間は1〜2ヶ月程度が目安です。1回の処置に十分な時間を確保して治療を進めますが、根管の形や感染の程度、再治療かどうかによって回数・期間は変わることがあります。詰め物や被せ物の処置にも、別途通院が必要になる場合があります。
Q.精密根管治療の費用はいくらですか?保険は使えますか?
A.精密根管治療は、健康保険が適用されない自由診療です。治療費は対象となる歯や根管の数などに応じて、税込55,000円または税込110,000円です。別途、詰め物や被せ物の費用がかかります。治療前に必要な処置と費用をご説明します。
Q.精密根管治療を受ければ、再発せずに歯を残せますか?
A.精密根管治療は再発のリスクを抑えることを目指しますが、必ず歯を残せる、再発しないと保証できる治療ではありません。根管の形や感染の程度、歯の亀裂などによって結果は異なります。治療後も詰め物や被せ物で適切に歯を補い、毎日のケアと定期検診を続けることが大切です。
Q.以前に根管治療を受けた歯でも、精密根管治療はできますか?
A.一度根管治療を受けた歯でも、精密根管治療による再治療は可能です。ただし、以前に詰めた材料の除去が必要になるなど、初回の精密根管治療に比べると、予後はよくない場合があります。歯や根の状態によっては残すことが難しいため、検査のうえで治療の見通しをご説明します。

この記事の編集・責任者は歯科医師の木川直樹です。

歯科医師 木川 直樹

略歴
2014年 鶴見大学 歯学部 卒業
2015年 鶴見大学歯学部附属病院 勤務
2016年 大阪市内歯科クリニック 勤務
2017年 仁愛会歯科 勤務
2023年 梅田アップル歯科 勤務
2025年 梅田アップル歯科 副院長就任
2026年 天王寺アップル歯科・矯正歯科 院長就任
ライセンス
歯科医師免許
臨床研修指導歯科医
La Briller認定医
セミナー
国際口腔インプラント学会
LSGP神戸
天王寺アップル歯科・矯正歯科の院長

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